「銀山跡700m」の石板を追って――藪に消えた南九州市・永里銀山跡

鹿児島市から南九州市方面へ向かって、県道23号谷山知覧線を走っていたときのこと。

道端に、ちょっと気になる石板がありました。

そこに書かれていたのは、

「銀山跡 700m」

という文字。

銀山?

こんなところに銀山跡があるのかと思い、案内に従って進んでみることにしました。

「銀山跡700m」の案内

「銀山跡700m」と書かれた案内石板
「銀山跡700m」と書かれた案内石板

見つけた案内石板がこちら。

道路脇にひっそりと設置された石板です。

観光地らしい大きな案内板ではなく、かなり控えめな案内。

しかも「銀山跡」としか書かれていません。

とりあえず矢印の方向へ進んでみます。

さらに「銀山跡200m」

「銀山跡200m」と書かれた案内石板
「銀山跡200m」と書かれた案内石板

しばらく進むと、今度は別の石板がありました。

どうやら本当に、この先に銀山跡があるようです。

しかし、このあたりまで来ても、それらしい雰囲気はありません。

200m案内石板の方向を見ると、そこにあるのは舗装されていない林道。

銀山跡へ続く舗装されていない林道
これくらいならクロスカブで行けない事もない

「林道かぁ……」

と思いながらも、せっかくここまで来たので進んでみることにしました。

林道の先にあった銀山跡の石碑

銀山跡の石碑。説明が書かれたタイルが貼られている
説明が書かれたタイルが貼られている

林道を進んでいくと、出てくる銀山跡を示す石碑。

説明が書かれたタイルが貼られています。

ようやく遺構らしき物に出会えて、「この辺にあったのよね?」と、とりあえず実感。

しかし、ここで終わりではありません。

石碑の説明によると、さらにこの奥へ約200m進んだところに坑道跡があるようです。

その先は……深い藪

坑道跡!

坑道跡があるなら、せっかくだから見てみたい。

そう思って石碑の裏側へ回ってみました。

ところが――

石碑の裏側。奥へ続く場所は深い藪になっている
坑道跡は深い藪の200m先

これはちょっと無理。

単なる「ちょっと草が生えている」程度なら進んでみようと思ったのですが、実際にはかなり深い藪。

掻き分けながら進むのもしんどそうな状態で、その覚悟も無かったです。(笑)

坑道跡まであと約200m。

距離だけなら大したことはありません。

でも、この藪を200m進むとなると話は別。

今回はここで諦めることにしました。

そもそも「永里銀山」とは?

今回訪れた銀山跡は、南九州市知覧町永里にある「永里銀山跡」です。

ところが、最初に現地を見つけた時点では、案内板にも「銀山跡」としか書かれていませんでした。

Googleマップにも表示されず、ネットで「銀山跡」と検索しても、別の有名な銀山跡ばかりが出てきます。

「ここは何ていう銀山なん?」

と、逆に気になり、住所や地名などを手掛かりに調べていくと、ここが「永里銀山跡」であることが分かりました。

江戸時代に掘られた永里銀山

永里銀山は、江戸時代に採掘された銀山です。

伝えられているところによると、薩摩藩の「お試し銀山」として、1825年(文政8年)に採掘が始められました。

採掘を行ったのは種子田兼備という人物。

しかし、採掘は長く続かず、1841年(天保12年)には休止したとされています。

その後も何度か採掘が試みられたようで、完全に忘れられた銀山というわけではなかったようです。

現在は山の中に石碑や案内石板が残るだけですが、江戸時代には実際に銀を求めて山を掘っていた場所でした。

銀山に残る山神

さらに興味深いのが、坑道入口付近に残っているという山神です。

記録によると、そこには

「謹祷銀山昌栄」

などの文字と、山元治左衛門らの名前が刻まれた山神があり、安政5年(1858年)6月の日付が確認されています。

残念ながら、今回の訪問では坑道跡まで藪掻きが嫌で辿り着けなかったため、この山神も見ることはできませんでした。

あと200m。

されど200m。

深い藪に阻まれてしまいました。

「謎の銀山跡」を見つけたけれど

今回の永里銀山跡は、最初から目的地として訪れた場所ではありません。

県道を走っていて、たまたま見つけた「銀山跡700m」という石板がきっかけでした。

案内に従って進んでみると、さらに「銀山跡200m」。

その先の林道を進むと、ようやく銀山跡の石碑。

しかし、坑道跡へ向かう最後の約200mは深い藪。

結局、坑道跡を見ることはできませんでした。

それでも、何気なく見つけた案内石板を追いかけていった先で、江戸時代の銀山跡にたどり着いたというのは、なかなか面白い発見でした。

有名な観光地でもなく、Googleマップにも表示されない。

案内も「銀山跡」とだけ。

そんな「謎の銀山跡」が、南九州市知覧町の山の中にひっそり残っていました。

いつか藪の状態がもう少し良くなったら、坑道跡や山神も見てみたいところです。

訪問日:2016年7月

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